ヨコシマなしましまアニメ感想

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ちはやふる3 第20話「なにしおはば」

 なるほど、千早の方の周防への負の感情のケリも、原田をきっかけに解決させるのか…もうちょっと千早の悶々とした葛藤を描いてほしかったんだよな。

 

今週の内容

放送中継車では、ディレクターがカメラが取る位置を指示していた。彼はかるたの事は分からないとしながらも、名人戦第4試合が運命戦になっている今この時が、大事な場面である事は理解していたのだった。

かるた会関係者が集まっていた一室では、ネット中継を流しながら、周防が名人から陥落する流れに期待が集まっていた。そんな中、名人位を取った原田と言うのも、想像してみると面倒な存在ではないかと声が上がり、それはそうかもしれないと皆は考え込んでしまう。

小峰読手が、次の札を次の札を取り出していたところで、原田は自陣にある「なにし」の決まり字の札について、考えを巡らせ、際限なく悩み始めていた。気持ちを切り替えようと、一言断って立ち上がると、原田はその場の空気を集めて食べるという、おなじみの動作をし、これを見た北野は、一番マナーを無視しているのは原田だと改めて感じ、彼に座布団を投げつけてまで応援している自分を恥ずかしく思うのだった。

座り直し、首と右肩を回してならした原田は、周防に挑戦的な笑みを向け、周防もそれにこたえるように口元に笑みを浮かべる。

再開された読手が読んだ札は空札であり、「しの」が決まり字だった。周防が自陣に向かって手を伸ばす気配を感じた原田は、思わず自陣の「なにし」の札を囲い手で守るが、周防は動くそぶりさえ見せていなかった。

千早は隣にいた太一に耳打ちし、原田が勝利する瞬間を、近くで見たいと言うおもいからか、北野の隣が二人分入れるくらいは空いていると移動を促す。しかし北野はこの試合を逃せば、原田は体力的に名人にはなれないと状況を読み、追い込まれているのは原田だと危機感を感じ始めていた。

次の札も空札が読まれ、またも原田は守り手を使い、周防は動かない。千早はこの段階でも動かない周防に対して違和感を感じ、聞き分けに自信があるのかと思案し始める。

原田は、自陣に残っている「なにし」の札が、上の句と下の句の最初の文字を合わせると名人となる歌であることを意識しており、この札に向かってくる周防の気迫に、名人にこだわっているのは、自分だけでは無いと感じ、それでも最もこだわっているのは自分だという自負を持って、次の札が読まれることに緊張感を高めていった。

札が読まれた瞬間に周防が手を伸ばしてきたため、とっさに自陣の札を押さえ手で取ってしまった原田。これには周防が笑みを浮かべ、第4試合は原田がお手付きをしたために2枚差で周防の勝利となった。

相手にミスをさせるかるたを、ここぞとばかりに仕掛けて勝利した周防に、太一はその度胸と技量に気圧されていた。太一がふと千早を心配して様子をうかがうと、彼女はショックを受けた様に視線を落としていたのだった。

読手をしていた小峰は、残った札を確かめ、空札を全てやり過ごすことができれば、原田の読み通り「なにし」の札が先に読まれる順番だったことに驚き、原田の出される札を読む力と、そうなる前に相手にミスをさせた周防の技量に、これが勝負かと感心すしていた。

係員が20分後に第5試合が開始されると声を掛け、会場の観客が動き始めた頃、太一が心配そうにする中、千早は一人で会場から外に出ていった。

そのころ、インタビューがあるからと、控室にいる詩暢を呼びに来た母・詩穂は、壁際に座布団を重ねて、それに寄りかかる形で寝ている詩暢の格好に、言外にみっともないと言いたげに声を掛ける。インタビューに向けて襷をほどいた詩暢は、千早につけてもらった襷が、いくつもの布を繋ぎ合わせていた事に気付き、丁寧にひとつずつ広げていく。その布に、くまの模様がついていたため、詩暢はこれを渡した千早の事を思うのだった。

千早は、モニターが置かれたスペースで一人、周防に対する悔しさを噛みしめていた。そんな彼女の耳に入ったのは、モニターに映し出された詩暢のインタビューだった。

テレビ観戦席にいた西田は、詩暢のインタビューと聞いて、姉弟子が負けた時に感情がこもらないコメントをされた事を思い出し、さっそくケチをつけていた。しかし今回の詩暢は、対戦者の猪熊の強さを認め、さらに傍にいた人のおかげで勝てた気がすると言い、次のクイーン戦が楽しみと言ってみせる。

詩暢の例年とは違うコメントに、猪熊はもちろん、千早はクイーン戦で戦うという詩暢との約束はまだ続いているのだと自覚し、周防への暗い気持ちに踏ん切りをつけるきっかけを貰っていた。

太一が試合会場から、新が出入り口から千早に声を掛けたため、千早と太一は新に駆け寄り、風邪の所為で少し喋るとせき込む新を、二人して心配そうにのぞき込む。そんな三人を見かけた菫と奏は、新が千早に告白しているのを知っていたため、新が返事を催促していると妄想し、少女漫画の様な展開を期待して見ていたが、実際の三人は恩師である原田の元へすぐにかけていってしまい、恋愛よりかるたという彼らの態度に、がっかりしてしまうのだった。

周防の控え室では、次々に和菓子を食べ続ける周防に、応援に来ていた女の子たちは声を掛けることもできずにいた。周防がお茶を飲んだことで、やっと終わった‼と安心感の様なものが生れる。そんな彼女たちに、周防は髪を結うゴムを借り、洗面所も使うと断りを入れるのだった。

原田の控え室では、目元にタオルを乗せ、タオルケットの様なものを被って眠っている原田と、そんな彼を見守る妻がいるのみで、こちらも静かだった。この様子をふすまを開けて覗き込んだ新と千早、太一は、そのまま入ることなくその場を離れ、階段のある広場まで移動する。

テレビ中継がある1階の応援席で見るという新に、千早は思わず理由を尋ねるが、咳込んだ新をみて、これでは会場には入れないと理解する。その後は第5試合を原田が勝てるかと考える3人だったが、名人が手を抜いてくれれば、体力の限界も膝の痛みも堪えている状態の原田にも、勝機はあるいう考えに行きつくが、近くを通り過ぎていった周防を見て、その考えは打ち砕かれる。

誰もが周防の変化に目を離せない中、原田も髪を縛り、髭を剃った周防に若く見えると話しかける。試合前、周防は年配者であり、挑戦者の原田に深く頭を下げ礼をし、その様子に会場はほんの少しざわつく。

第5試合が最終戦となり、名人戦が始まってから10時間が経とうとしていた。解説には北野が入り、周防が原田に敬意を払うようになった事は、もう油断がないという事だと説明し、原田の方が分が悪いと戦況をよんでいた。

原田は周防との対戦中に、出来る限りかるたの技量も、人となりについても、周防の事を知ろうと食いつき、周防から一字決まりを取って見せるなど見せ場を作る。そんな原田を見ながら、千早は周防に対して抱いていた暗い感情ですら、本来ならかるたを強くする糧に帰る事が出来たのだと気づかされ、自分の心の弱さに目に涙を溜めていた。

原田は集中を切らずに試合をするが、やはり体力が持たないと途中で自覚し、今回の自分の挑戦は、これを見た若い者が糧にしてくれれば良いと考えるようになっていった。

試合は12枚差で周防が勝ち、名人位の防衛に成功した。周囲はこれで周防が引退すると安堵しており、太一もその流れに同調していた。

原田は会場から廊下へと出て、妻から声を掛けられたために、少し言いづらそうに名人位を取れなかったと答える。しかし原田の妻はそんなのは要らないと言ってのけ、原田の笑顔が見たかったのだと、目じりに涙を溜めて応えるのだった。

周防がインタビューを受ける中、顔を伏せてそれを聞いていた千早が立ち上がって動き出すのと、会場に入ってきた新が鉢合わせし、新は千早に自分が行くと手で制して、周防の方へと歩み寄っていく。

周防は、アナウンサーの質問に一言で応えながらも、原田との試合が面白かったと考えていた。質問が、引退の話に触れた時、周防は兼子がひとかどの人間になれと泣きながら言っていた事を思い出すが、引退することを肯定しようとする。

新は、周防が引退すると言い切る前に大声で話しかけ、中継スタッフや大会の係員たちが驚き、坪口に押し返されながらも、自分が倒しに行くから名人でいてくれと頼むのだった。

同じ思いでいた千早が見守る中、周防は口元に笑みを浮かべ、もう一年名人でいると、新のお願いに応じる。これを聞いたかるた会関係者一同は、問題児がまた一年間も居座る事に「ひっ」っと引き攣るのだった。

自分の願いを聞き入れてくれた周防に、新は深く一礼し、これを見ていた原田は愉快そうに大声で笑う。まだ周囲がざわめく中、新は会場から出て行き、千早も後を追って会場の部屋から出ていく。強すぎる名人の引退を望んでいた太一は、そんな二人を見送って、一人沈んでいた。

表彰式が終わり、札ガールを務めた桜沢と広間で話していた猪熊。彼女はお腹の子はおそらく女の子だろうと話を始める。話を聞きつけた読手の山城は、おめでたを祝い、また休みに入るのかと話を振ったため、先に桜沢に言っていた通り、戻ってこれる見込みがない事を匂わせる猪熊。しかし山城は猪熊をまぶしそうに眺め、まだ種を埋めているようなものだとおせっかいを焼いて去っていく。この言葉を聞いた猪熊は、山城に続いて理音が頭を下げて去っていくのを見届けてから、桜沢にしがみついて泣いたのだった。

瑞沢高校のかるた部は、予想以上に長くなった名人戦に押されて、新幹線にギリギリで乗り込んでいた。弁当を数個買った西田が、濃い一日だったと満足そうにする中、千早は太一がいないことに気付き、西田と駒野は乗り遅れたのかと青くなる千早に続き、ドジだと笑っていた。しかしこの余裕は、奏から太一が高松宮杯に出場することを聞かされたことで崩れ、また太一に抜け駆けされたと、千早は悔しがるのだった。

 

ここから感想

この作品の良さでもある、全部を説明しないところが、今回は裏目に出ていた。

周防がひとかどの人間になれたかどうか、自分自身どう思っているのかについてや、猪熊が山城にかるた会に戻っておいでと言われた後の涙等々、出来ればその場で表現してほしかったものが多々見つけられてしまった。

周防の件は、今週分は特に表現が大事な部分だと思えたのに、彼が普段からこう考えて、そんな自分をどのように思っているかが表現されていないから、ひとかどの人間になれていると思っているのかどうかも分からないまま、新の言葉に乗っかって、名人残留と言う結果になってしまった。しかも周防が悪戯心で放った言葉に左右された千早も、原田のかるたをみてた立ち直るなど、結構中途半端な感情表現で、ツッコむことが無いまま雰囲気で進んでいってしまっている。ちょっと残念。

 

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