ヨコシマなしましまアニメ感想

アニメの感想を、ひたすらに載せていくブログ。ネタバレが基本姿勢。※他所からの引っ越し作業中

彼方のアストラ 第12話「FRIEND-SHIP」感想

 久々にストレス無く見れて、後味もすっきりな作品だった。少年向けだけど、やっぱりこのジャンプ系のノリはいくつになっても好きだ。

 

今週の内容

ワームホールで右腕を失ったカナタの処置を行ったキトリーは、麻酔の無い中での処置に自分自身が疲弊し、患者であるカナタも良く耐えたと他の班員に伝える。

キトリーは、カナタが腕を失った原因となったシャルスに嫌みを言うが、さすがにシャルス自身の生い立ちや気持ちを考えて、言うのは控える様に止めるルカなのだった。

シャルスはキトリーの言葉を受け、その場の雰囲気を踏まえて、刺客である自分を拘束し、クローンを作ったオリジナルと同様に警察に突き出すようザックに申し出るが、その必要は無いと現れたのは、腕の処置を終えたばかりのカナタ本人なのだった。

痛くて眠るどころではない挙句に、一人だと寂しいという理由で出てきたカナタ。まずはシャルスがワームホールを解除したことで、自分は助かったと礼を言い、アストラに戻っても逮捕させないように自分たちは動くと宣言するカナタに、ウルガーは刺客だったシャルスを信用するのかと念を押す。

今シャルスを信用しないでどうするのか、自分たちが旅の中で培った友情や信頼は嘘だったのかと訴え、文句のある奴は左手でも勝負すると啖呵を切ったカナタに、他の班員は全く動じることなく、キャプテンの意志を確認しただけだと、シャルスを受け入れていた。そのことに気付いたシャルスは、皆と一緒に帰り、オリジナルとして生きたいと、涙ながらに本音を打ち明けたのだった。

刺客だったシャルスも、今まで通り接するという事で満場一致だという事が分かり、話は世界の真実について、シャルスが知っていることを語ろうと申し出るが、カナタが貧血で立っていられなくなったため、カナタの体力が回復してからという事になった。

2063年10月29日 遭難117日目、惑星ガレム。

ガレムに到着してから7日目。カナタは休ませて、食料採集を行うB5班。食料となるものも多く、水も豊富なガレムでの食料採集は順調に進み、そんな中でアリエスは、暇そうにしているカナタの話し相手になるのだった。

2063年11月1日 遭難120日目、惑星ガレム。

ガレムに到着して10日目。食料の採取が目標値に達したため出発するアストラ号。カナタもキャプテンシートに座れるほどに回復していたが、後半はずっと療養していたため、食料採集の苦労話に花を咲かせている皆の会話について行けず、少し拗ねて見せ、その姿にシャルスは奇怪な笑い声をあげたのだった。

次に惑星に到着するときは、母星のアストラなのかとしみじみつぶやいたルカだったが、ザックは、自分たちのオリジナルが暗殺失敗に気付いたら、アストラに降りることもままならない可能性を口にする。しかしカナタはその対策を立てるのも、シャルスの知っている世界の真実を聞いてからだと、話を切り上げるのだった。

超光速航行に入り、シャルスの話を聞くことにするカナタ達。

シャルスは、地球という惑星があった事、小惑星の衝突が予想されたために惑星間の移住が計画され、2年後に移住先の惑星アストラが発見されたことまでを話した。

そこまでは、ポリ姉と皆で歴史のすり合わせを行った際に、ポリ姉の知る歴史として語られたことと同じ内容で合った。問題のその後に起こる歴史が異なっている点については、シャルスは原因としてワームホールを挙げた。

移住計画当初、ワームホールのおおよそ1万本が地球とアストラを繋げ、現代技術をそのままアストラへ持ち込んで開拓を行っていった。その後、移住計画が一般に公開され、移住先の領土争いが、人種や宗教、国家間の力関係という不安定な状態で成り立っていた秩序を取り払い、2052年からの2カ月で人口が半分にまで減少させる争いに発展した。

争いが激化した原因も、どこにでも出入り可能なワームホールだったとシャルスは語り、ユンファは使い方が違っている事に涙しながら指摘する。シャルスは、人類はそう言うことがあってから後悔するのだと述べ、実際に歴史でも、二度と戦争が起こらない様にと宗教と武器の撤廃、国と資源、言語の統一を図り、惑星間の移住を機に争いの火種になる要素を取り除いたのだと話すシャルス。

4年間をかけて人と物を移住させ、2057年7月5日に予測通りに小惑星は地球に激突。人類はその後アストラでの開拓が軌道に乗った頃に統一政府を樹立させる。最後に残った争いの原因であるワームホールも、テクノロジーごと抹消する事が決定する。その作業を請け負ったのが、ワームホールを作り出したヴィクス工業であり、移住後も統治権を持つに至った原因であった。

シャルスは自分が持っていたワームホールは、王家が密かに持っていたものだと説明し、カナタはここにきて、ワームホールがあった事を抹消した事で、移住の説明がつかなくなることに気付く。

シャルスはカナタの言葉を肯定し、異なる歴史を作り出したことを明かす。歴史を無かったことにする事は不可能だというウルガーに、ザックは西暦を戻したと考えつき、シャルスはその通りだと返すのだった。

歴史上では、世界政府の樹立が1963年とされているが、実際は2063年で惑星アストラの開拓初期に当たる。しかし西暦を100年戻して、移住そのものを無かったことにすると政府が定め、一般市民がその歴史を次世代に伝えなければ可能だというシャルスに、キトリーは思わず声をあげてできるわけが無いと叫ぶが、実際に自分たちが知らなかったことをシャルスに指摘され愕然とする。

今、惑星アストラでこの真実を知っているのは、実際に開拓時代を経験した人物であり、100年近く前の出来事を体験した人物は、時と共に老いて亡くなっているため、人数もわずかしかおらず、世間一般では歪曲された歴史こそが真実となっているのだと語るシャルス。

ユンファは、1963年に始まった第三次世界大戦についてシャルスに尋ねるが、第三次世界大戦自体が捏造されたものだと改めて話し、大戦からの復興と、移住の開拓を重ね合わせることで歴史を繋げたのだと語るシャルス。実際に核戦争になりかけたキューバ危機を利用してのつなぎ合わせだとも付け加える。

この歴史の改ざんが成功した要因は、国と言語が統一された事と、移住先の領土争いを経験し、アストラに移住した第一世代が口をつぐんだことにあるだろうと結論付けるカナタ達。その過程で失われたものについて、ポリ姉は思いをはせるが、シャルスはヴィクシアには少しではあるが書物として残っていると話し、彼女は自分の知っている歴史を伝えられたらと、今後の自分のやるべきことについて希望を見出すのだった。

ふと、ビーゴが放った「伊達に長い間氷漬けになっていない」というセリフから、歴史が歪曲された結果、ポリ姉がコールドスリープしていた旗艦は、12年ではなく112年だと発覚し、自分の年齢は140歳だと計算してしまったポリ姉は、あまりのショックに気絶してしまうのだった。

一通り話し終えて、ウルガーの兄・フィンが生前にウルガーに残した「大人たちは嘘をついている」と言う言葉の、真の意味が分かったカナタ達。移住の件に関して言えば、今の大人世代も騙された歴史を学んでいることを確認し、平和のために第一世代が隠し通したこの件も、今惑星アストラに住む自分たちが真実を見て・考えるために人類全員で考えるべきだと結論付けたカナタ達は、本当の歴史を伝えるためにも帰ろうと、思いを同じにするのだった。

次に、無事に帰りつく算段を考えるカナタ達。クローンの抹殺計画の件ではオリジナル達に、本当の歴史の件では世界政府の秘密漏洩を防ぐ組織に命を狙われる可能性を考え、アストラに到着する前に、信頼できる大人で、もみ消しが聞かない程に大々的に情報を公開してくれる権力やツテを持っている人物を考える事になる。ウルガーがジャーナリストだった兄のフィンと、マルコ・エスポジト議員の不正献金疑惑を追っていた警察官・グレース警部を挙げるが、連絡先が分からないと行き詰ってしまう。そこで、唯一クローンである子供に愛情を持って育てていたアリエスの母・エマを頼ろうとアリエスが申し出て、超高速航行を一度解き、そこでメールを送る事にするのだった。

2063年11月20日 遭難139日目、惑星マクパ宙域。

アリエスがエマ宛にメールを書き、遭難中の写真やキャンプ日誌なども載せて送信する。

2063年11月27日 遭難146日目。

超高速航行を解き、惑星アストラの宙域に出たアストラ号。惑星に接近する間に、ザックはシャルスへヴィクシア王の王位継承権について尋ねるが、シャルスは次代の王は血族から選出されることを話し、その候補者には、シャルスがセイラ殺害の疑いを持っている人物なのだと明かす。それを聞いたウルガーは、調査なら力になると話し掛け、シャルスは嬉しそうに応じるのだった。

冒険が終わって寂しく感じるというキトリーに、カナタはこれからが自分たちの人生なのだと返し、皆もそれぞれの想いを馳せている時、ブリッジから接近する船があるという警報音が鳴り響き、相手は敵か味方か分からない武装をした船だったため、緊張が高まる艦内。ザックは冷静に通信を取るため、相手の船に艦名とケアード高校のB5班であることを告げるのだった。

ヴィクシア王政地区では、現王のノア・ヴィクスがマルク・ヴィクスを呼び出し、あまり乗り気ではない様子で重大事項を述べるところであった。

マルクはノアの言葉を聞き、王位継承の話だとすぐに察していた。そして、これまで王女・セイラを暗殺し、現役の王のクローンであるシャルスの抹殺にも関与した甲斐があったとほくそ笑むのだった。しかし、実際に王位継承の話をノアが行う前に警察の介入があり、警察の身分証を提示したグレース警部によって、ノアがクローンの密造と殺人未遂の容疑で連行されることになり、マルクも王女セイラの暗殺容疑が掛けられていると、同行を余儀なくされるのだった。

フィンとその弟のウルガーの写真を見つめていたグレース警部は、これからヴィクスが隠してきた世界の秘密が明かされ、世界に混沌がやってくると独り言のように同僚に語るが、平和の維持のために歴史を改変した今の世界よりも健全かもしれないと、彼個人としては思っているのだった。

2063年11月27日 旗艦当日、惑星アストラ。

惑星アストラの軌道上で、アストラ号に接近した武装を積んだ船は、回線を開き良く帰ってきたとカナタ達を迎える。

送ったメールで、上手く事が運んだと喜んだカナタ達。宇宙港に入る前に円陣を組んで、それぞれの旅で一番印象に残ったことを語り始める。

ザックは船が落下した時。

キトリーはイクリスで船が動かなくなった時。

ルカはアリスペードでウルガーに銃を突き付けられ、(自分のISを証明するために)裸を見られた事。

ユンファはシャムーアで班員が倒れた時に歌った時。

ウルガーはアリスペードでカナタの右腕に引き上げられ、助けられた事。

アリエスも宇宙空間に投げ出された時、カナタの右腕で支えられ助けられた事。

フニシアはヴィラヴァースで、トランポリン型の木の上から、カナタの腕に抱きかかえられ、助けられた事。

シャルスも泣くのを堪えるように顔をしかめ、惑星ガレムで、カナタの右腕に助けられた事を挙げる。

思い出が多く、感極まって泣き出したアリエス達にくっつかれたカナタは、恥ずかしさから狼狽えるが、「ありがとうカナタ」と言う言葉には、「みんなが居たから帰ってこれた」のだと訂正し、自分の一番の思い出はこの着陸の時だと語る。

大気圏内に入り、自分たちの母星の美しさを噛みしめるカナタ達。しかし、この世界が抱える矛盾をこれから自分たちが暴き、それによる混乱が待ち受けていることを考えるアリエスだが、自分たちが旅の中で経験した、恐れずに進むことの大切さと、手を取り合い・支え合い、励まし合えれば、過去は繰り返さずに済むと考えるのだった。

宇宙港の様子が肉眼で確認できるようになった頃、出迎えや報道陣の人だかりの中に、母・エマが居る事に喜ぶアリエス。カナタは、キャプテンとしての最後の挨拶を行い、キャンプの終了と、学校でまた会おうと約束し、全員が「アイ・イエー」と掛け声で返すのだった。

その後、学校行事のキャンプに出掛けた高校生10名が行方不明になった事件は大きく取り上げられ、クローンを作って若返りを目論んでいたオリジナル達は逮捕され、献金を受け取ってゲノム管理法に反対していたマルコ・エスポジト議員も事情聴取されることとなった。

「生還した生徒たちによる記者会見」に出たカナタ達は、大人たちが考えるような悲惨な体験を語らず、カナタの腕が欠損した話も、義手のアイディア対決になり、食料困難の事も、2キロ太ったと返すほどなのだった。

会見を終えて、カナタ達をねぎらうグレース警部。カナタはアストラ号の今後の取り扱いを気にして尋ねるが、旧時代の遺物として博物館からのオファーが来ていると知り、少し遠くを見つめるのだった。

その後も、生還劇を明るく語るカナタ達はメディアに重宝されるが、カナタとシャルスはそんな中でも世界政府の会議に出席し、隠している移住の歴史を政府が公表しないなら、歴史に疑問を持つ専門家などへ、自分たちが暴露すると硬い意志を通し、本当の歴史の公表にまで至ったのだった。

西暦が100年後退させられていた事や、惑星間移住が公になり、本当の歴史の公表にともない、世界政府へのデモの激化なども発生したが、カナタの執筆した「アストラ号の冒険」の最終章で語られる、自分の目で世界を見ることの大切さが人々に影響を与えたため、これも沈静化していくのだった。

刺客として送り込まれていたシャルスも、当初は強い洗脳状態にあった事と、被害者たちが養護している事もあり、クローン抹消事件の殺人未遂の罪には問われることなく、ヴィクシアの王に即位していた。政治的権力の撤廃や貴族エリアの壁も取り払い、王家が握っていた歴史的価値のある情報も公開するなど、シャルスなりのけじめをつけたのだろうと考えるアリエス

そうこうしているうちに、少しずつ日常を取り戻したカナタ達は、無事にケアード高校を卒業していく。

20170年7月4日 帰還から七年後。

服役中のゲルト・ツヴァイクとの面会を行うウルガー。兄・フィンがマルコ議員の手の物に殺された件について、改めて尋ねるウルガーに、ゲルトは、フィンは優秀過ぎるがゆえに、自分たちのクローンの計画どころか、ヴィクシア王の抱える秘密にまで気づいてしまったため、マルコが手を出さなくとも、いずれ殺されていただろうと語る。

息子を失って悲しんでいたゲルトを見ていたウルガーは、それで良かったのかと食って掛かるが、今でもフィンの代わりにウルガーが死ねば良かったと思っていると返したゲルト。さらに、フィンを殺してまで継続させた計画を放棄できずに決行し、挙句クローンの抹殺にも失敗したという結果に、自棄になった表情をウルガーに向けるゲルト。

頑なに自分を見ようとしなかったゲルトに、ウルガーは帰り支度を始めるが、ゲルトはフィンは優秀な良い息子だったとつぶやき、ウルガーもそのつぶやきには同意して帰っていく。そんなニット帽をかぶったウルガーが、いつかのフィンによく似ていたために、思わず立ち上がったゲルトは、アストラ号さえ転送先の宇宙に無ければと、後悔を吐き続けるのだった。

その後ウルガーは、アストラ号を訪れ、またの別れを惜しむのだった。

ケアード高校に進学したフニシアは、同じく非常勤講師をしているポリ姉を敷地内で呼び止める。インタビューに大学の講演と、旧時代を知る唯一の存在として忙しくしているポリ姉は、今夜行われるユンファのコンサートには行けないからと、皆にはよろしく伝えて欲しい旨をフニシアに伝える。すぐにウルガーがポリ姉を迎えに来たため、仕事で忙しいウルガーに相手にされないフニシアは、仕事と分かっていても、ドライブだデートだと騒いで、ウルガーとのドライブの約束をもぎ取るのだった。

インタビュー場所へと向かう車内で、思わず笑うウルガーに理由を聞くポリ姉。すると、アストラ号で冒険していた当時のキトリーに、フニシアがそっくりすぎると言う物で、ポリ姉もその点は否定しないのだった。仕事中だとは承知しつつも、ユンファのコンサートだけでなく、宇宙港からのアストラ号出発を見に行かなくて良いのかと言うポリ姉に、カナタには会えなかったが、挨拶は済ませてあると言うウルガーなのだった。

2170年7月4日 ユンファコンサート直前、アース記念ホール。

コンサートが始まる前に楽屋に入ろうとするキトリーに、通せないと対応する警備員。そんなやり取りの中に、ルカが居間でなくて良いだろうと止めに入っていた。

ユンファのコンサートに来れるのは、今いるメンバーとフニシアだけだと確認するアリエスに、思わずキトリーがウルガーは来ないのかと聞いてしまうと、ルカが忙しそうにしていて、勝手すればよいと拗ねて見せる。今度はルカがアストラ号の出発の日だからと、キトリーとアリエスに寂しいだろうと聞いてみると、よっぽど行きたいんだからいけば良いと、キトリーは怒りを露わにする。アリエスの方は、カナタと結婚することになったと話し、今までの不機嫌な流れは断ち切れ、キトリーとルカはアリエスに抱き付いて祝福し、その場に居合わせた警備員のおじさんも、ひそかに拍手を送るのだった。

ひとまず、儀式として遺伝子上の父親に当たるシャルスに、カナタはアリエスを嫁に欲しいと言う許しを請い、シャルスも快諾すると言うことをやったのだと話すアリエスに、同じ都市同士でかわす儀式では無いと、思わず大笑いするキトリーとルカ。そして、アリエスは早く赤ちゃんが欲しいと話していたことを思い出したキトリーが話を振ると、アリエスは女の子が欲しいと話し、名前は「セイラ」にするのだと決めているようだった。

コンサートでは、新曲をアストラ号の仲間に捧げると話すユンファ。17歳の冒険では、殻に閉じこもっていた自分から、仲間のおかげで本当の自分になれたのだと話し、キャプテンだったカナタが、執筆した本で儲けたお金で、アストラ号を買い戻したエピソードも交えて、今後も自分たちの旅は続くのだと「アストラ号の冒険」を謳い始めるのだった。

2170年7月4日 出発当日、ムーサニッシュ宇宙港。

義手を付けたカナタは、アストラ号を見上げてそのボロさを口に出す。しかしザックは中身は完璧に調整済みだと太鼓判を押し、カナタの義手の調子と、ワームホールの設置場所の調査という任務内容を確認する。

ウルガーが来ていたことを話すザックに、旅に誘えと文句を言うカナタ。しかしそれ以上に、ウルガーがカナタと一緒だと遭難しそうだという言い分にも不服そうにするのだった。しかしそんなカナタよりも後方を見たザックが、珍しく慌てる姿を見たカナタは振り返り、ヴィクシアの王となったシャルスが、旅支度をしてこちらに向かってくる姿に思わず大声を上げる。

行けたら行くと言っておいたはずだという軽いノリのシャルスだが、カナタの右腕になるという約束を果たしに来たと聞き、そこは冗談に決まっているだろうと照れるカナタ。しかしシャルスが放ったカナタよりも役に立つと言う発言に、思わず多機能すぎるザック作の義手の威力を見せつける時だとして、肘からミサイルを撃ってやるとじゃれるカナタ。軽口をたたきながらアストラ号へ登場し、振り返ったカナタは、中学時代の先生に気付かされた夢を今、叶えたのだと感じ、亡き先生へ出発の挨拶をするのだった。

 

カナタの「サバイバルの心得」

その1 前に進めば前進する(第1話発表)

その2 起き上がれば立てる(第9話発表)

その3 慌て者ほど狼狽える(第1話発表)

その4 皆それぞれ色んな力をがっちり合わせれば、大抵の事はどうにかなる(第3話発表)

その5 諦めたらそこで試合終了(第8話発表)

その6 発表無し

その7 食べれば元気になる(第4話発表)

その8 発表無し

その9 一つ一つ冷静に対処していけば、すべて解決する。(第3話発表)

その10 立ち止まったら進まない〈第7話発表〉

 

ここから感想

最後まで後味すっきりな本作。

ザックの感情表現が乏しすぎた件や、シャルスの精神状態が不安定だったこと、どの時点でシャルスが「彼自身」になれたのかという点の表現が不足していたように思えるが、自分は感想を書いている立場であっても、不快に思うほどの矛盾は感じられなかった。何と言っても、ジャンプ系の特徴であるスピーディーな展開と、細かな部分の割愛具合が自分好みと言うのもあるのだけどね。

それにしても、ゲルトは何故クローンなんて作っていたのか、そこの部分は語られなかったな。まぁ、実の息子とクローンの両方を愛することはできなかったという事は、今回の会話で十分理解できたし、ウルガーとフィンが被って見えた時のゲルトの表情に、後悔以上の感情を捉えるかは、見ている側次第だよなとも考えたので、こういった表現の余白がある点も、この作品の良い点だと思う。決して視聴者への丸投げでない辺り、少年向けの作品らしい責任感ある作り方をしている。

で、帰ってからは事が上手く運んだB5班。ルカがどちらかと言うとおばさんに寄っていったり、フニシアが喋り方までキトリーにそっくりになってきたところ等、やはり最後まで明るい内容で終わらせてくれた。作品を見る前は、帰還当初の取材をしていた大人たち同様、自分も遭難ならではの葛藤などが描かれると思っていた半面、このあくまでも明るいという作風は嬉しかったな。

OPが無いことが多い、1話と12話が1時間という変則的な作り方をしてまで、ワンクールでまとめ上げた本作は、少年少女用に読みやすさを意識して作られたと言われる原作を、良く意識してアニメにした作品だなと、作り手さんの意気込みが見れて、内容以上にこの作り方にも好感が持てる、良い作品だった。

…ってあれ?カナタのサバイバル心得って全部言ってた?いまだに歯抜けなんだけど!

 

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